BC582 - BC496|古代ギリシア
「ピタゴラスイッチ」や「ピタゴラスの定理(三平方の定理)」など、ピタゴラスという名前は、彼が死んでから2000年以上たった今でも聞く機会が多く存在します。
ピタゴラスは「ピタゴラス教団」という団体を立ち上げ、そこでは数学・音楽・哲学を中心に研究していました。このピタゴラス教団では、「ピタゴラスの定理」を始めとする、現代の数学に繋がる数々の研究を行なっています。
ピタゴラスの生涯
ピタゴラスの生涯という見出しを書いてみたものの、ピタゴラスという人物が大変な秘密主義者だったため、本人の著作物や研究記録というものは全く伝わっていません。
なので、彼のことはよく分かりません、以上です。(すみません)
彼が作ったピタゴラス教団の研究記録を外部に漏洩した人は死刑になったといいますから、ものすごい徹底っぷりですよね。
あらゆる情報がちょっとしたことで漏洩するこのSNS時代も、少しは見習った方が良い。
そんな秘密主義の徹底もあり、ピタゴラスが実際何をしたのか?は不明だったりします。かの有名な「ピタゴラスの定理」がありますが、実際誰がピタゴラスの定理を発見したのかは、知られていません。
なので、ピタゴラスの話は全て弟子の言い伝え。彼の肖像も、全部テキトー。すなわち、私のイラストもテキトーに書いたもの、ということになります。私のイラストのテキトーさについては、ピタゴラスに限ったことではありませんが。
数少ない情報の中でも、彼の幼少期については記録があります。ピタゴラスの父は商人だったため、ギリシアのみならず、エジプトや様々な地域を訪れ、多くの学問に触れる機会があったそうです。幾何学や天文学、彼の偉大な発見の数々は、こういった生い立ちがきっかけとなったのでしょう。
ピタゴラスと数学
万物は数である
古代ギリシャの哲学者たちは全ての物事の根源「アルケー」についての探求に躍起になっていました。例えば
- タレスは「水」
- ヘラクレイトスは「火」
- デモクリトスは「原子」
こそが全ての物事の根源であると主張しました。
全て的を得ているからおもしろいですよね。だって、あらゆるものには多少なりとも水分が含まれているし、あらゆるものは温かい(あるいは冷たい)し、あらゆるものは原子で構成されているし。「顕微鏡もない時代によく考えついたね!」と偉そうな賞賛をしてあげたくなります。
そんな中、ピタゴラスは「数」こそが物事の根源「アルケー」であると考えました。
全てのものは数で表すことができる。私が手に持っているパソコンも、その中でブンブン回っているハードディスクも、それを回しているモーターも、全部数で表すことができる。私の増え続ける体重だって、腹囲だって、数で表すことができる。
うん、確かに万物は数だ。だって増え続ける体重や腹囲も、「摂取カロリーの多さ」という数で説明がつくもの。
ピタゴラスの定理
ピタゴラス教団が行った最も重要な発明は、今も習うピタゴラスの定理(三平方の定理)です。
a2 + b2 = c2 というやつですね。
色々な証明があると思いますが、以下の視覚的な証明が私は一番しっくりきます。
ちなみに、非常にシンプルな定理であるがゆえに、エジプトや中国など、ギリシア以外の国々でも同様の公式は発見されていたとされています。
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数の調和への異常な愛
彼がものすごく嫌ったのが、無理数です。無理数とは、分子・分母ともに整数である分数として表すことのできない実数のことです。ルート2などですね。だって、「万物は数で説明がつく」っていっているのに、「説明がつかない数がある」と言うのは、彼の思想そのものを否定してしまうことになります。
これは困った。
でも、彼の理論のほとんどは、無理数によって成立しています。
- ピタゴラスの定理
- 円周率
- 黄金比
大変に皮肉な話です。
ピタゴラスの弟子ヒッパソスは、三平方の定理によってその「無理数」を発見してしまったといわれています。「全ての数は整数の比で表せる」という教団の教えを否定するこの発見ですが、そこは秘密主義のピタゴラス教団、決してその秘密が漏れることのないようにヒッパソスを溺死させてしまいました。
宇宙も数、音楽も数
彼の活躍分野は数学に治らず、その数学を応用した宇宙や音楽といった分野の理論についても功績を残しました。
地球が球体であることを発見
ピタゴラスは、人類で初めて地球が球体だと考えた人でした。
ピタゴラスは、「宇宙は数的な調和によって秩序づけられている」と言いました。
そしてピタゴラスは、「すべての立体の中で、もっとも規則正しいのは球」であると主張します。だから、地球は球体なんだと唱えます。
ピタゴラスは、その科学的根拠はさておき、人類で初めて地球が球体だと考えました。そして、これはピタゴラスの死後ですが、弟子の一人は、地動説を唱えるようにまでなります。
ドレミファソラシドを作る
ピタゴラスは現在の「ドレミファソラシド」にあたる音階をつくりました。
音楽がどう数学と関係あるのか?という点については、疑問に思われることでしょう。
まずは、こちらの絵をご覧ください。
- 左上:重さの違う鎚の響きを調べている
- 右上:大きさが比になった鐘、いろいろな水量のコップを叩いている
- 左下:重さの違う錘を吊るした弦を弾いている
- 右下:大きさの違う笛の音を試している
ものの重さや長さなど、当時でも簡単に計測可能なものの比率と音階に関係があることを発見します。その結果、発明されたのがモノコードです。
これで、自由自在に意図する音が出せるようになりますので、調律器具として重宝されたようですよ。数学って偉大。
ピタゴラスの思想を現代ビジネスに応用しよう
ピタゴラスのように、万物は「数」であると考える方法は、今でもかなり重要そうです。KPIなどと言われますが、物事を測定可能な指標に置換するスキルは、ビジネスマンにとっての必須スキルです。
ビジネスも、すべてが「数」によって成立しているからです。売上高や利益率などお金に関わる数値はもちろん、来客数、社員数、顧客数、成約率などすべて数字での表現ができます。また商品には重さ、サイズがありますし、空間には大きさ、温度、湿度、そして時間なども全て数です。
何を当然なことをいっているのか、と思われるかもしれません。しかし、企業経営の中にも、全くといって良いほど数値化・定量化ができていない分野があります。企業経営は「ヒト・モノ・カネ」と言いますが、殊に「ヒト」については、定量化の努力が怠っているようにしか思えません。不公平な評価、非効率的な業務、社内の人間関係、採用基準、人のモチベーション。こういったものは定量化が不足しているからです。
「これを定量化したらどうだろう」といつも考える癖をつけることで、もしかすると、ある日ハンマーの音から音階の定量化に成功したピタゴラスのように、偉大な発見ができるかもしれません。